心のスケッチ  佐々木大記

真理探求の日々のひらめきを綴ってます。愛と幸福をテーマにした児童文学を現在制作中。近々電子書籍で第一話を発表予定。(2019.09.27)

最後の道

「結局一番大切なものはお母さんだってことが分かった。自然にそう思う。」

サラッと言い切る父と、北参道を歩いていた。

八戸を出てタクシー乗務を始め、東京での一年を振り返っての一言は、どこか事務的にすら思えるほど何の飾り気もなく、只々真っ直ぐだった。

遮るもののない一直線の参道の奥に、最後の鳥居が小さく見えている。

父の心はあの鳥居からさらにはるか遠く、母の待つ八戸に飛び立って行こうてとしている。

この道が東京で父と二人で歩く最後の道なのだと思った。

父はこれからも生き続ける。けれども、二人でこの道を歩くことはもう二度とないだろう。

これが別れの道であり、父が東京を後にする最後の道。

父が上京を決意してから、これまでに流れた時間に二人で思いをはせた。

父と息子の時間が神聖な何かに守られているようだった。

鳥居をくぐり一礼をし、神宮を後にする。

思い残すことなく東京を去る父が羨ましいと思った。

父はこれから八戸へと飛び立ち、母と共に生きる。



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二人に幸せになってほしい。

だから絶対に自分の幸せを掴んで、二人に見せ続けようと思える。

僕の幸せは彼ら二人の幸せな姿を見ていることで、二人の幸せは家族の幸せな姿を見ていること。

この循環は愛によって無限となる。