心のスケッチ  佐々木大記

真理探求作家の日々のひらめきを綴ってます。愛と幸福をテーマにした児童文学「ジル」を電子書籍出版で連載開始。http://pr4.work/3/jill(10/24)

『世界から希望が消えたなら。』前夜

ヒア アフター
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良い映画だった。
霊能力を隠してふつうの人生を生きようとしている霊能者の青年と、臨死体験をもとに死後の世界について研究し出版した女性ジャーナリスト、事故で双子の兄を失った少年。
それぞれの孤独と葛藤と悲しみが互いを求めるように引き付け合い、運命に導かれていく。
ストーリーのテンポもちょうどよく自分にとっては心地よかった。
心情描写が繊細で、結構文学的というか、日本的な雰囲気があって、こういうの好きだ。
ポイントは、孤独なんだよ。
他の人には分かってもらえない真実を抱えている孤独。
そこに共感できる人にとって救いになる優しさが宿されていた。
クライマックスは全然派手じゃないんだけど、その心情表現のなかで孤独からの自己救済が静かに成し遂げられていく描写は美しく穏やかな余韻を長く残してくれている。
自分は誰にも分かってもらえない。
でもあの人となら分かり合えるかもしれない。
これまで抱えてきた「自分は幸せになりえない」という自分自身がかけた呪いとの決別。
もっと強めの演出を施してカタルシスを強調することも当然できただろうに、クライマックスをあえて静寂の中においていることに対して物足りなさを感じる人もいるようだ。
だが、主人公は物語が始まる以前からすでに非日常的な日常に生きていて、彼がもっとも求めていたものは誰もあこがれないような平凡な幸せなのだ。
霊能者としての救済を求める人々から逃げて、一人の人としてのごく普通の幸せを求める主人公にとって、この上ないクライマックスだったのではないだろうか。
だが、霊的にみるなら彼は神の召命を拒んで三次元的人生に堕落しようとしているともとれる。
物語の後に彼が使命に殉じていく人生が始まるのかもしれないけれど、「自らの使命をどう受け止めるか」という観点から見れば、人間的誘惑を求める情けないメシア像が描かれているようにも思えてくる。
その点明日18日からスタートする映画『世界から希望が消えたなら。』では、死を体験して蘇生した奇跡の霊能者が自らの使命に目覚め、この世の誘惑をすべて捨てていく「英雄哲学」が描かれているものと期待される。
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霊的な使命をどう受け止めて、自らに与えられた命をどう使っていくか。
観る人に死生観を問いかけるようなストーリーなんじゃないだろうか。
「あなたはいかに生き、いかに死んでいくべきなのか」


ヒア アフター』の登場人物たちも「死」というものをきっかけに人生の変化を経験している。
『世界から希望が消えたなら。』で描かれる主人公の「死」と「復活」が生みだす人生の変化は自分の心にどんな余韻を残してくれるのだろうか。
人類史上もっとも重い使命を受け止める英雄の姿に、何を思い、何を学ぶのだろうか。