心のスケッチ  佐々木大記

真理探求作家の日々のひらめきを綴ってます。愛と幸福をテーマにした児童文学「ジル」を電子書籍出版で連載開始。http://pr4.work/3/jill(10/24)

一つの世界で

いろいろな言葉を羅列しているが、煎じ詰めれば「人間の心をいかに豊かなものにしていくか」というミッションに挑んでいるのであって、そのために色々な手段を通して世界に働きかけようとしているのだ。
芸術でも音楽でも文学であっても、宗教であっても、共通している大切な役割だと思う。


ところで自分は人間としてどれだけ心の豊かさを得ることができているのだろうか。
そういう観点で自分や他人を知ろうとしたことって、あまりなかったかもしれない。
ミッションとして語ったわりに、正直貧しいような気もする。
或いは、豊かな要素を持っているけれど、充分に世の中に還元できず、自分のところで抱え込んでしまっているとも考えられる。


ここ最近目先の生活の事にやたらと気を取られていて余計に縮こまっていたが、本来の目的から目を離すと心がやさぐれてくるということが身に染みて分かった。
生活のために生きようとしている感じになると、とたんに自尊心は失われ、自分の存在意義が薄められていくのだ。
人類にとって、音楽や芸術や文学や宗教が失われてしまったら、人の心はどんどんやせ細っていき、物質的な充足が優先される管理社会になってしまうだろう。(もうなりつつあるのかもしれないけど)
それは人間の尊厳を否定することだと思うし、生きる中で成長していく喜びや、愛し合うことだとか、感動だとか、心によってのみ得られる価値を見失ってしまうことを意味している。


自分自身最近「経済最優先」と言わんばかりに、心を耕す営みを脇に追いやってしまっていたが、「心を豊かにする」というテーマはひと時たりとも外してはいけない課題なのだと学ばせて頂いていたのかもしれない。
日本という国としても、もちろん経済はとても大事な優先事項だが、心の豊かさが重視されないような世相が様々なひずみを生んでいるんじゃないだろうか。


豊かな心とはどのような心であるかを指し示す宗教の使命。
心の豊かさを呼び覚ますような感動を与える音楽、芸術、文学の使命。
生活や社会的な側面から心を豊かにする人間活動を支える政治、経済、科学技術の使命。
人間としての幸福を目指すこれらの使命を次の時代へと継承していく教育の使命。家庭の使命。
それぞれがそれぞれの使命を担って「一つの世界」を作り上げている。
何が欠けてもいけないし、どれも尊いものだとは思うが、見失ってはいけない価値はやはり「心の豊かさ」なのだと思う。
その最終目標を見失ってしまった場合、経済も政治も芸術も、空しくなってしまうのではないだろうか。


世界中の数えきれないほどの家庭生活の連なりによって、親から子、子から孫へ、何千年何万年と紡がれてきた「一つの世界」は何を目指してここまで継承されてきたのだろうか。
人間としての本当の幸福が実現される世界を目指しているからこそ、存続を許されてここまで来たのではないだろうか。
そういう大きな連なりの中で自分なりの使命を掴んで果たしていくのが人生を生きる喜びであろうし、自らに自尊心を宿す生き方だと思う。


有名であるかどうかとか、利益不利益に関わらず、「一つの世界」を紡いでいくために自分も何らかの役割を担って生きているという自覚を持つことができれば、人類としての偉大な使命の中を生きることができる。
他の人と比べて大きなことをしようとする必要は必ずしもない。
「一つの世界」が何を目指しているかを見失いさえしなければ、別個にあらず自他一体の人生観の中で、自らの力を世の中に注いでいく喜びを得ることができるだろう。


誰一人欠けることのない「一つの世界」、「一つの目標」をいつも感じられるような自分をめざしたい。